目次
電荷・電界
静電気の内容については、「磁界と電流」との関係に非常に類似している部分が多いので、磁界の方を理解されていると非常に分かりやすいと思います。
静電気とクーロンの法則
正に帯電した物質に、正に帯電した物質を近づけると反発力が起こり、負に帯電した物質を近づけると吸引力が起こります。この力を静電力と呼びます。これは磁極間の関係と同じですね。
また、図のように真空中で2点の電荷Q1,Q2がr(m)隔てて存在する時、この電荷間に働く力F(N)は下記式で表すことができます。
F=Q1Q2/4πε0r^2=9×10^9×Q1Q2/r^2(N)
この式を静電気に関するクーロンの法則と呼び、同極間では反発、異極間では吸引力が働きます。※ε0(イプシロンゼロ)は真空の誘電率といい、
ε0=1/4π×9×10^9=8.85×10^-12(F/mファラドメートル)で表します。
ε0の式は試験問題で表記されている場合がほとんどですので、余裕があれば覚える程度でいいと思います。
電荷間に働く力は磁極間に働く力と公式がほとんどおなじですね。
静電誘導
絶縁された導体球に、負に帯電した物体を近づけると、物体に近い導体球の表面に正の電荷が現れ、反対側には負の電荷が現れます。逆に正に帯電した物体を近づけると、導体球表面に現れる電荷は負になり、反対側は正となります。このように帯電体を近づけることによって導体の表面に電荷が現れる事を静電誘導と呼びます。
電界
図のように、正の電荷から負の電荷へ向かう線があります。これを電気力線と呼びます。そしてこの電気力線が存在する空間を電界と呼びます。これも磁界と同じ考えで、磁極のNからSへ磁力線が流れ、その空間を磁界と呼びましたね。同じ感じですね。
電界の強さ
電界中にの正の電荷を置いた時、1Cに発生する静電力の大きさを電界の強さといいます。図の通り、電荷Q(C)による1Cへの電界の強さE(V/m)は、距離をr(m)とすると次式で表せます。
E=Q/4πε0r^2=9×10^9×Q/r^2(V/m)
また、電荷に働く遺伝力F(N)は、次の式で表せます。
F=QE(N)
電気力線・電束・電束密度
1.電気力線
図の通り、電気力線は正の電荷から出て負の電荷へ入ります。磁力線と同じ感じですね。電気力線には下記のような性質があります。
①電気力線の接線の向きは、その点の電界の向きである。
②正の電荷Q(C)からQ/ε本の電気力線が出て負の電荷に入る。
③電気力線は互いに反発する。またゴムのに縮もうとする。
④電気力線は互いに交わらない。
⑤電気力線の密度は、その点の電界の大きさを表す。
2.電束
電束は1/ε本の電気力線を1本と考えたものです。ですのでQ(C)の電荷からはQ本の電束が出ると考えます。単位は同じ(C)になります。
3.電束密度
電束に垂直な面1m^2を通過する電束を、その点の電束密度といいます。記号はD(C/m^2)で表されます。面積A(m^2)の面を電束Q(C)が通過する時、その点の電束密度D(C/m^2)は
D=Q/A(C/m^2) で表します。また、D=Q/4πr^2=εE(C/m^2)でも表せます。
静電容量
Q=CV
という重要な公式があります。電荷Q(C)と電圧V(V)と静電容量C(Fファラド)で表す式です。静電容量Cは、コンデンサの事で導体の大きさ、間隔、誘電体で値が変化します。
導体球の表面の電位、静電容量を求める場合は、下記の公式を使用します。
V=Q/4πε0r
C=4πε0r
rは導体球の半径になりますが、2乗しないようきをつけて覚えて下さい。
コンデンサの計算
コンデンサ
2枚の金属板を平行に置き、絶縁物をはさんだものを平行板コンデンサといいます。図のようにコンデンサに電圧E(V)を加えると、金属板(電極という)に+Q,-Qの電荷が蓄えられます。そして電極間に平等電界(どの点も電界の強さが同じという事)E(V/m)が発生します。電極内部の電界の強さE(V/m)は、電極間も間隔をr(m)とすると、次の式で表すことができます。
E=V/r(V/m)
また、コンデンサの静電容量(F)は、次の式で表せます。
C=εA/r(F)
εは イプシロン と読み、誘電率と呼びます。誘電率は次式で表せます。
ε=ε0εr(F/m)ファラッドマイメートル
※ε0=真空の誘電率 εr=比誘電率
透磁率 u=uour(H/m) と同じ関係ですね。
コンデンサに蓄えられるエネルギー
コンデンサC(F)に電圧E(V)を加えると、コンデンサに電荷Q(C)が蓄えられます。この時、コンデンサに蓄えられたエネルギーW(J)を式で表すと、次の通りとなります。
W=1/2×CV^2(J)
コンデンサの回路
1.コンデンサの直列接続
図のようにコンデンサを2個以上直列につないだ時、合成静電容量は、次式で表すことができます。
合成静電容量C=1/1/C1+1/1/C2+1/1/C3+1/1/C4+1/1/C5(F)
※並列時の合成抵抗を求める式と同じですね。
この回路の各コンデンサに蓄えられる電荷Qについては、Q=CV の式より下記の通りとなります。
Q=合成静電容量C×V(C)
直列接続の場合、各コンデンサに蓄えられる電荷は、全て同じ値ります。
※電流の同じ考えですね。分岐していなければ全て同じ値です。
次は2個直列に接続した回路を考えてみます。2個の場合は次式で表せます。
合成静電容量C=C1C2/C1+C2(F)
※こちらも抵抗の並列時の合成抵抗(2個の場合)と同じ考えになりますね。
この回路の各コンデンサに蓄えられる電荷は、上記と同じで全て同じ値となります。
2.コンデンサの並列接続
図のようにコンデンサを並列接続した時の合成静電容量は、次の式で表せます。
合成静電容量C=C1+C2+C3(F)
※直列の合成抵抗を求める式と同じになりますね。
この回路の各コンデンサに蓄えられる電荷は、次の式で表せる事が出来ます。
Q1=C1V(C) Q2=C2V(C) Q3=C3V(C)
並列の場合、各コンデンサに蓄えられる電荷の量は、図の場合だと全て違う値となります。(3つのコンデンサに加わるVが同じ為、Cの値で電荷の値が決まる為)
※こちらも電流と同じ考えになりますね。図のコンデンサを抵抗に変えると、同じくVは一定のため、抵抗値により分流した電流の値が決まります。