IP電話は、音声をパケット化して通話を行います。つまり、音声データも「インターネット網」を経由する事になります。
メリットとしては、割安な料金があげられます。
これは音声がインターネット網を通過することにより、電話回線を設置する必要がなくなるので、固定電話の設置費用や利用料金を抑えられる為です。
反面、インターネットの環境に音質が左右されるといったデメリットもあります。(専用線なら関係ありませんが。)
そしてもう一つ、最大のデメリットとして「緊急通報が出来ない」があります。これは非常に危険です。110と119につなげる事が出来ません。
後述しますが、ひとえにIP電話といっても様々で、スマホの「VOLTE」もIP電話になります。しかし、「緊急通報が出来ない」IP電話は「050」から始まる電話番号のものに限られています。
この050のIP電話は、最大のデメリット「緊急通報が出来ない」を克服する為に、アプリと連携して最寄りの消防局が表示されるような仕組みにもなっていますが、これを利用した経験がある筆者からすると「役に立たず、危険極まりない」仕様になっています。
したがって、050のIP電話しかもってないようでしたら、必ず通常の電話番号も契約しておく事をおすすめします。
それでは050が危険極まりなく、通常の番号が必要な理由をまとめたいと思います。
目次
IP電話とは
音声のパケット化
IP電話は、音声信号をパケット化し、インターネット網を通過して相手と通話する仕組みです。
専用線を利用すると高品質な通話が期待できますが、そうでない場合はインターネット網のトラフィックに影響を受けるので、通話品質が落ちる場合があります。
専用線を利用しなければ、比較的安価で通話できるのがメリットとしてありますが、反面品質が悪くなる恐れがあるのがデメリットです。
VOLTE
スマホで聞いたことあると思いますが、LTEを使った音声通話に「VOLTE」があります。これもIP電話になります。
他のIP電話と異なる点は、「インターネット網」を通らないところです。
これは携帯キャリアが「パケット代」と「通話料金」を混同させないため、独自に携帯電話網の中にあるサーバーとやり取りさせている為です。
050のIP電話が緊急通報に繋がらない理由
位置情報が付与されない
IP電話が110や119等の緊急通報に繋がらない理由として「位置情報」が発信者の電話番号に付与されないことがあげられます。
そもそも緊急通報の受付の流れは、
110、119にTEL ⇒ 最寄りの消防局本部(管制塔)につながる ⇒ 本部が救急、消防の手配
になります。つまり、発信者の位置情報がつかめないと、管制塔である最寄りの消防局本部に繋がらないんですね。050が緊急通報出来ないのはこの理由の為です。
VOLTEに関しては、基地局が位置情報を割り出しているので、IP電話でも緊急通報が可能という訳です。
050でアプリを利用しての緊急通報が危険極まりない理由
GPS受信必須かつ最寄りの連絡先が複数表示される
050のIP電話は、緊急通報が出来ない回避策として、スマホであれば専用アプリと連携させて「最寄りの消防署」を表示させる事が可能です。
しかしまず、「GPS」が受信出来ている事が前提になります、そこから付近の情報を地図に反映させるので。つまり地下などの比較的GPS信号が届きにくい場所ならその時点で終わりです。
さらに、位置情報が掴めたとしても、付近には複数の消防局が存在します。「どこに連絡するのか」がまず分からないと思います。しかもそんな状況なら焦っているはずですし。
一応、表示された消防署ならどこでもOKらしいですが、現実は。。。
断られる!!
緊急通報のセオリーでは、管制塔から各消防署へ連絡が飛びます。ですので、消防署では110、119の発信者から「直」での連絡にはイレギュラー対応になります。
でも、050のそういったアプリが存在するんだから、しっかり対応してくれないと困りますよね。
ところが、私の場合、子供の関係で夜中に119をかけて、表示された最寄りの消防署に「IP電話なのでこちらにかけました、救急です」と119が使えない事を間違いなく伝えましたが、返ってきた言葉は、
「え?ちょっと、ここでは対応できないんですけど、、119にかけてもらえます?」
と、断られました。管制塔に取り次いでもらう事も無く、電話を切られました。
この時は嫁の電話が通常の番号だったので、それでなんとか救急車呼べたんですけど、かなり焦りました。
後日市役所に問合せ
消防署の対応があまりにも解せなかったので、後日市役所に問合せのmailを入れました。こういう事があったけど、対応としてどうなんでしょうか?と。
するとその後、連絡を入れた消防署の署長さんから“間違った対応をして申し訳ない”とのTELが入りました。どうやら、こちらが電話をかけたときに対応した消防署の職員さんに、「なかなか無い事例なんでちゃんと教育していなかった」事が原因だったそうな。。
分かるでしょうか?これっておそらく、全国でありえる事だと思います。
050での緊急連絡なんて、めったに無いから言わなくてもいいだろうって認識があるのです。
これは怖いです、050でアプリを利用しての緊急通報が危険極まりない理由です。
まとめ
・IP電話は音声をパケット化しインターネット経由で通話する
・IP電話には位置情報が付与されない(050)
・VOLTEは別で基地局から位置情報が与えられる
・050緊急連絡アプリはGPS受信が必須
・最寄りの消防署に直で電話かけても断られる事がある
・通常の電話番号をもっておいた方が良い
筆者のようにスマホでIP電話「050」だけの契約って方も少なからずはいると思います。
今後、050でも緊急通報がつながるようになるかもしれませんが、今のところはそういった気配を感じません。
前途したように、050はめちゃくちゃ大事な「緊急通報」が使えないもの同然なので、この番号しかもっていないのであれば、絶対に通常の電話番号を持つ事をおすすめします。
あらかじめ最寄りの「管制塔」を登録しておけばいいかもしれませんが、出かけた先でのそれは意味がありません。
0120等のフリーダイヤルも使えないですし(アプリよっては使えるけど)、とにかく050だけってのは不便かつ危険極まりないです。