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送電と配電

送電と配電

送電系統と配電系統

電力系統

発電所から各需要家まで、網の目のように広がる電力の伝送路を「電力系統」といいます。
電力系統は、大きく「送電系統」と「配電系統」に分かれます。
送電系統は、発電所から需要地近くまで、いくつかの変電所を経由しながら運ばれていく伝送路です。
配電系統は、需要地近くの拝殿用変電所から、ビルや工場、一般家庭などに届けられる伝送路です。

交流伝送と直流伝送

交流は、変圧器を使って簡単に電圧を変換できるので、発電所から需要地近くまで高圧で送電し、変電所で降圧して各需要家に配電することができます。
この利点により、送電は主に交流で行われています。
しかし、パワーエレクトロニクス技術の進歩によって、近年では「直流送電」も実用化されるようになりました。
直流送電には次のような特徴があります。

○交流送電で生じる送電線路の不安定現象が生じないので、長距離送電や海底ケーブルによる送電に適している

○絶縁レベルを低くできるので、送電線の建設費が安い

○交流と直流を変換する「交直変換所」が必要となる

○交直変換器から発生する高調波や高周波に対する対策が必要となる

単相交流と三相交流

単相、三相交流

交流には単相と三相があり、何本の電線を使って送電・配電するかによって、次のような方式に分かれます。

単相2線式

○2本の電線で単相を送電する方式

○主に柳井配線に用いられる

○負荷電力:Vicosθ(W)

単相3線式

○3本の電線で単相を送配電する方式

○100Vや200Vの低圧配電線や屋内配線に用いられる

○電圧を平衡させるため、負荷側にバランサを取り付ける

○負荷電力:2VIcosθ(W)

三相3線式

○3本の電線で三相交流を送配電する方式

○主に送電線や高圧配電線に用いられる

○線あたりの送電電力は、単相線式の約1.15倍と効率が良い。

○単相交流を取り出す事ができる

○回転磁界が簡単に作れる

○負荷電力:√3VIcosθ(W)

送電線と配電線

架空電線

送電線と配電線は、どちらも架空電線路と地中電線路に分かれます。
電線路を構成している主な機器を把握しておきましょう。

架空電線路の構成

電線を、鉄塔や鉄柱などの支持物で支持する電線路を「架空電線路」といいます。

支持物

電線の支持物は、高圧の電線を高所に架設して、大地と絶縁する役目を果たしています。
「鉄塔」は、大容量電力の送電に用いられており、三相3線式の交流回線を2組取り付けたものが一般的です。

がいし

がいしは、電線を支持物から絶縁して固定する装置です。
絶縁体には主に磁器が用いられています。

架空地線

送電線に雷が直撃するのを避けるため、鉄塔や鉄柱の最上部に取り付ける電線です。

柱上変圧器と開閉器

柱上変圧器や開閉器は、どちらも配電線路の電柱などに設置されています。
柱上変圧器は、需要家に電気を供給するため、電線路の電圧を、家庭用100Vまたは200Vに変える変圧器です。
開閉器は、事故や改修作業などの際に、その区間を切り離すための装置です。

地中電線路

地中電線路

地中電線路は、送電線や配電線を地中に通す電線路です。
架空電線路に比べて雷害に強く、景観を損なわないなどの特徴があるため、都市部への送電や配電に用いられています。
地中電線路の布設方式には、「直接埋没式」「管路式」「暗きょ式」があります。

電線の種類

送電や配電に用いる主な電線の種類と特徴を把握しておきましょう。

送電用の電線

架空送電線には、導電率が高く、機械的強度や耐久性に優れたものが求められます。
従来の送電線には、導電率の高い「硬銅より線」がよく用いられていましたが、現在の送電線は「硬心アルミより線」や「硬心耐熱アルミ合金より線」が標準的です。

硬銅より線:硬銅線をより合わせたもの

硬心アルミより線(ACSR):強度の高い鋼線の周囲に、導電率の高いアルミより線を巻きつけたもの

硬心耐熱アルミ合金より線(TACSR):アルミより線を合金にして、耐熱性を高めたもの

配電用の電線

配電用の電線は、感電や漏電を防止するため、裸電線を絶縁体で被覆した「絶縁電線」が用いられます。
絶縁配電線には、主に次のような種類があります。

屋外用ポリエチレン電線(OE線):硬銅より線をポリエチレンで被覆したもので、主に6.6kVの高圧電線として使用されています。

屋外用架橋ポリエチレン電線(OC線):OE線と同じ構造ですが、絶縁被覆として耐熱性のある架橋ポリエチレンを使用したもの。6.6kVの高圧配電線として使用されています。

屋外用ビニル電線(OW線):銅線をビニルで被覆したもので、耐久性があり、経済的です。主に600V以下の低圧配電線に用いられます。

引込用ビニル電線(DV線):銅線をビニルで被覆したもので、主に電柱から家屋までの架空引込線として用いられています。

地中電線路の電線

地中電線路には、導体の周りを絶縁物で覆った電力ケーブルが使われています。代表的な電力ケーブルには、OFケーブルとCVケーブルがあります。

OFケーブル:ケーブルの中心に絶縁油が流れる通路を設けさせたもの。ケーブル端の給油設備によって循環させます。

CVケーブル:絶縁体として架空ポリエチレンを用いたもの。

CVTケーブル:トリプレックス形CVケーブル(単心の7CVケーブル3本をより合わせたもの。)

配電線路の構成

配電線路は、配電変電所から配電変圧器(柱上変圧器など)まで電力を届ける「高圧配電線路」と、配電変圧器から各需要家に電力を届ける「低圧配電線路」の2つに分類されます。
日本の高圧線の電圧は6600Vが一般的です。ただし一部の大電力需要地域では、特別高圧とよばれる22kV、または33kVによる配電が行われています。
低圧線の電圧には100Vや200Vが使われています。

配電方式の種類

配電方式

配電線路の方式には下記のような種類があります。このうち高圧配電線路には、樹枝状方式、環状方式、高圧ネットワーク方式が使われます。
また、低圧配電線路には、樹枝状方式のほか、低圧ネットワークバンキング方式、レギュラーネットワーク方式、スポットネットワーク方式が使われます。

樹枝状方式

幹線から分岐線が枝分かれしていく方式。線路の延長が簡単なため、高圧、低圧どちらの配電線路でも採用されています。
根元近くに事故があると、停電が広範囲にわたってしまう欠点があります。

配電線路:高圧・低圧

環状方式

幹線が環状になっている方式。電源を2方向からとれるため、信頼性が高い方式です。

配電線路:高圧

高圧ネットワーク方式

複数の配電用変電所を高圧線で結び、ネットワークを構成する方式。アメリカで発達した方式で、日本では採用されていません。

配電線路:高圧(日本では採用されていない)

低圧バンキング方式

1つの高圧線に複数の変圧器を接続し、それぞれの二次側を並列に接続する方式。

配電線路:低圧

レギュラーネットワーク方式

格子状に連結した低圧配電線網に、複数のフィーダで電力を供給する方式。
1つのフィーダが停電しても残りのフィーダで電力を供給できるので、信頼性の高い方式です。

配電線路:低圧

スポットネットワーク方式

複数の高圧線か(または特別高圧線)からでるフィーダから、それぞれネットワーク変圧器、ネットワークプロテクタを介して、同一の低圧母線に電力を供給する方式。
ビルや工場といった負荷の集中している場所に電力を供給する方式として用いられています。

配電線路:低圧

電線のたるみ

電線のたるみを計算する

電線のたるみ計算

鉄塔や鉄柱の間の電線には、自重によって中央に図のような「たるみ」が生じます。
電線のたるみの大きさ(弛度)は、次式で求めることができます。

また、たるんだ電線の長さを求めるには次式を使います。

温度上昇による電線の長さを計算する

温度が上昇すると、電線は膨張して長くなります。
温度上昇前の電線の長さをL1(m)、電線の膨張係数をa、温度上昇をt(℃)とすれば、温度上昇後の電線の長さL2は、次のように求められます。

L2=L1(1+at) 単位:m

線路定数

線路定数とは

送電線の電気的な特性を示す数値として、「線路定数」があります。線路定数には次のような種類があり、いずれも単位長さ(1km)あたりの量を表します。

抵抗(Ω/km):電気のとおりにくさを示す量。電線の材質や断面積によって決まります。また、一般に温度上昇によって大きくなります。

インダクタンス(mH/km):電線に発生する磁束に関わる量。リアクタンス(Ω)として作用します。インダクタンスは、電線の材質や太さ、他の電線との距離によって決まります。

静電容量(uF/km):電線と大地の間や、送電線相互に充電される電荷に関わる量。電線の材質や太さ、他の電線との距離によて決まります。

漏れコンダクタンス(S/km):電線から絶縁物に伝わる電気の漏れやすさを表す量。わずかなので、たいていは無視して考えます。

架空電線路や地中電線路の線路定数としては、一般に抵抗、インダクタンス、静電容量の3つを考えます。
ただし、架空電線路で、電線の距離が10~20km以下と比較的短い場合は、抵抗とインダクタンスのみを考え、静電容量は無視できます。

地中電線路は導体間が近接しているため、一般にインダクタンスは架空電線路より小さく、静電容量は大きくなる傾向があります。

送電線の抵抗を増やす原因となるもの

送電線の抵抗は、電線の材質の特性(抵抗率)や、断面積の大きさ、長さによって決まります。
また、ほかにも次のような要因で抵抗が変化します。

温度上昇

物質の抵抗は一般に温度によっても変化し、金属の場合には温度上昇によって抵抗が増加します。

表皮効果

電線に交流が流れると、電流は電線内の表面に多く流れ、中心部には流れにくくなります。
この現象を「表皮効果」といい、送電線の抵抗を増やす原因となります。

近接効果

平行に置いた導体間に交流を流すと、導体間に電磁力が作用して、導体内の電流分布にかたよりが生じ、抵抗を増やす原因となります。
この現象を{近接効果」といいます。
近接効果は、とくに導体間が密接している地中電線路のケーブルで起こりやすくなります。

ねん架で線路定数を平衡させる

ねん架

インダクタンスや静電容量は、電線相互の配置によって変化します。そのため、三相3線式の架空電線路では、各相の電線を等距離に配置しないと、各相によって線路定数に違いが生じてきます。
そこで図のように、ある区間ごとに各相の線路の配置替えを行い、各相の線路定数がなるべく同じになるようにします。
これを「ねん架」といいます。

送電線路の電圧降下

電圧降下の計算

電圧降下計算

たとえば、図1のような交流回路では、ac間の電圧Esとbd間の電圧Erとは、ふつう等しくなるはずです。
しかし、ab間が1kmほどの電線路で結ばれている場合には、送電線の線路定数を考慮しなければなりません。
送電線の線路抵抗をR(Ω)、リアクタンスX(Ω)とすれば、回路は図2のように表されます。

EsとErは、わずかに位相がずれていますが、計算を簡単にするため、線路定数による位相のずれは生じないと考えます。
すると、ab間に生じる電圧降下はの大きさは、次の式で表すことができます。

Es-Er=I(Rcosθ+Xsinθ)

三相3線式送電線の場合

三相3線式送電

送電線が三相3線式の場合の電圧降下は、図のように線間電圧E’sとE’rの差で考えます。
Es,Erは相電圧なので、E’s=√3Es,E’r=√3Erです。
したがって、電圧降下は次の式になります。

E’s-E’r=√3(Es-Er)=√3I(Rcosθ+Xsinθ) 単位:V

フェランチ効果とは

フェランチ効果

図のベクトル図aが示すように、負荷の力率cosθが「遅れ」であれば、受電端電圧Erは送電端電圧Esより小さくなります。
しかし、負荷力率が「進み」の場合には、ベクトル図は図bのようになり、受電端電圧Erが送電端電圧Esより大きくなってしまいます。
このように、受電側の電圧が上昇する現象を「フェランチ効果」といいます。

配電線路の電圧降下

樹枝状線路の電圧降下の計算

配電の電圧降下計算

図のようなA点およびB点に負荷をもつ3相3線式の配電線があるとします。
A点およびB点における線間電圧(V)は、次のように求めます。
なお、送電端側S点の線間電圧を6600V,配電線の1線あたりの抵抗とリアクタンンスはそれぞれ0.5Ωk/m、0.3Ωk/mとする。

有効電流と無効電流を求める

SA間に流れる電流Iは、負荷電流IA、IBの合成です。
したがって、電流Iのベクトルは、図のように表すことができます。
ベクトルIのうち、線路の電圧と同相の成分を有効電流といい、電圧と90°ずれた成分を無効電力といいます。
有効電流と無効電流は、ベクトル図により、それぞれ次のように求めることができます。

有効電流=Icosθs=IAcosθA+IBcosθ
=80×0.6+150×0.8=168(A)

無効電流=Isinθs=IasinθA+IBsinθB
=80×0.8+150×0.6=154(A)

電圧降下を求める

SA間に流れる有効電流、無効電流がわかれば、SA間に生じる電圧降下は次のように求めることができます。

VSA=√3I(Rcosθs+Xsinθs)=√3(RIcosθs+XIsinθs)=√3(0.5×168+0.3×154)=130.2√3(V)

また、AB間に生じる電圧降下は次のようになります。

VAB=√3IB(RcosθB+XsinθB)=√3×150×(0.5×0.8+0.3×0.6)=87√3(V)

A点、B点における電圧を求める。

A点、B点における電圧降下は、S点からそれぞれの点までの電圧降下を差し引いて求めます。

VA=6600-130.2√3=6375(V)
VB=6600-130.2√3-87√3=6224(V)

電線路の電力損失

電力損失の種類

電線が持つ電気特性により、伝送途中に失われてしまう電力を「電力損失」といいます。
主な電力損失には、以下のような種類があります。

抵抗損:線路抵抗によって生じるジュール熱

コロナ損:高圧送電線で生じるコロナ放電による損失

シース損:ケーブルの金属シースによる損失(渦電流損とシース回路損)

誘電体損:紙やポリエチレンなど、ケーブルの絶縁体内で消費される電力損失

架空電線路の電力損失はほとんどが抵抗損です。
地中電線路では、電力ケーブルを利用するため、抵抗損のほかにシース損や誘電体損が発生します。

抵抗損の計算

線路抵抗R(Ω)の送電線に電流I(A)が流れると、I^2R(W)のジュール熱が発生し、送電される電力から奪われます。
この電力損失を「抵抗損」といいます。

単相2線式線路の抵抗損

単相2線式の電力Pと抵抗損Peは、それぞれ次の式で表します。

P=Vicosθ(W)
Pe=2I^2R(W)

三相3線式線路の抵抗損

三相3線式の電力Pと抵抗損Peは、それぞれ次の式で表せます。

P=√3VIcosθ(W)
Pe=3I^2R(W)

電線路の障害と保護

電線路に生じる主な障害と、その対策について把握しましょう。

雷害:落雷や雷雲による障害

塩害:がいしに付着した塩分や煙粒子により、がいし表面が導電性を帯び、絶縁力が低下すること

微風振動:ゆるやかな風により電線が振動する現象

雪害:降雪による障害(ストリートジャンプ、ギャロッピング)

誘導障害:電線と通信線との電磁誘導や静電誘導による障害

雷害とその対策

送電線の事故でもっとも多いのが雷によるものです。
雷による障害には、直撃雷、誘導雷があり、いずれも線路に生じる異常電圧の原因となります。

直撃雷

雷が送電線や鉄塔を直撃し、過電圧が流れること。
送電線への直撃雷によって、送電線から鉄塔に電流が流れる場合を「フラッシュオーバー」といいます。
また、架空地線や鉄塔への直撃雷によって、鉄塔から送電線に電流が流れる場合を「逆フラッシュオーバー」といいます。

誘導雷

電線と雷雲との静電誘導によって、電線に雷雲と反対極性の電荷が集まり、雷雲が放電すると電荷が線路に流れること。

雷害対策

雷害対策として、送電線には以下のような設備や装置が設置されます。

架空地線:送電線への直撃雷を防止する

アークホーン:フラッシュオーバーによって生じるアークによって、電線やがいしが破損するのを防止する

避雷器:電線路に侵入した異常電圧から電気設備を保護する

埋没地線「:鉄塔の接地抵抗を小さくして、架空地線や鉄塔への直撃雷を大地に逃がし、逆フラッシュオーバーを防止する

その他の障害

電線路には雷害のほかにも、塩害、雪害、微風振動、誘導障害などの障害があります。

塩害

がいしに付着した塩分や煙粒子により、がいしの表面が誘電性を帯び、絶縁力が低下すること

塩害対策

○耐塩がいし、長幹がいし、スモッグがいしの利用
○がいしの定期的な洗浄
○がいし表面をシリコン処理する
○懸垂がいしの連結する個数を増やす

雪害

降雪による障害として、ストリートジャンプやギャロッピングが知られています

ストリートジャンプ:氷雪が脱落した反動で電線が跳ね上がり、振動する現象

ギャロッピング:氷雪の付着した電線が風にあおられ振動する現象

雪害対策

○相間スペーサ、ダンパの取付
○たるみを小さくする
○径間(支持物の間隔)を短くする

微風振動

ゆるやかな風により電線が振動する現象。

微風振動対策

○ダンパの取付

誘導障害

送電線に近接する通信線に電圧や電流が生じ、通信障害などを起こす現象。
電磁誘導によるものと、静電誘導によるものがあります。

電磁誘導による障害:電線と通信線との相互インダクタンスにより、通信線に電圧が生じる現象

静電誘導による障害:電線と通信線間の静電容量により、通信線に電圧が生じる現象

誘導障害対策

○ねん架を行い、線路定数を均一にする
○通信線との距離を離す
○地絡電流の小さい接地方式を採用する

中性点接地方式

中性点接地とは

異常電圧による事故を未然に防ぐため、ふだん電圧の生じない部分と大地とを接続しておくことを「接地」(アース)といいます。
送電線では、三相3線式線路の中性点を接地する「中性点接地」が行われます。中性点接地の主な目的には、以下のものがあります。

○地絡故障によって、健全相に生じる異常電圧を抑え、電線路や機器の絶縁レベルを軽減する
○地絡故障時の保護継電器の動作を確実にする
○1線地絡事故によるアークを消去する(消弧リアクトル方式の場合)

中性点接地方式

中性点接地

一般に接地抵抗を小さくすれば、より多くの地絡電流が大地に流れ、異常電圧を抑えることができます。
ただし、地絡電流が大きいと、今度は電磁誘導障害が発生しやすいといった弊害も生じます。
そのため、以下のような中性点接地の方式を、目的に応じて使い分ける必要があります。
それぞれの方式の特徴を把握しておきましょう。

非接地方式

○中性点を接地しない方式。接地抵抗が大きいため、地絡電流は小さい
○電圧が低く、短距離の線路で用いられる

直接接地方式

○中性点を直接接地する方式。接地抵抗が小さいので、地絡電流は大きい
○異常電圧が小さく、保護継電器の動作が確実になる
○高圧な送配電系統で用いられる

抵抗接地方式

○中性点を100~1000Ω程度の抵抗で接地する方式。地絡電流は非接地方式より大きく、直接接地方式より小さい

消弧リアクトル接地方式

○中性点に、対地静電容量と共振するリアクタンスを接続し、地絡電流を0にする方式

%インピーダンスと短絡電流

電線同士が接触したり、電気の流れやすいものが触れたりして、電気を通る近道が出来てしまうことを、「短絡」(ショート)といいます。
短絡電流は負荷を通らないため、非常に大きな電流になります。

短絡電流の計算

%インピーダンス

図のように、三相回路の各相が短絡してしまった場合を、三相短絡といいます。
相電圧の大きさをE(V)、送電線のインピーダンスをZ(Ω)とすれば、三相短絡によって流れる短絡電流の大きさIn(A)は、次式で表すことができます。

In=E/Z(A)

インピーダンスZは通常ごくわずかな値ですから、短絡電流は非常に大きくなってしまいます。

%インピーダンスとは

電力系統が複雑になると、合成インピーダンスの計算が複雑になります。
そんなときは「百分率インピーダンス」を使えば計算を簡略化できます。
百分率インピーダンス(%インピーダンス)は、線路に基準電流Ib(A)(線電流)が流れているとき、線路のインピーダンスZ(Ω)によって生じる電圧降下IbZ(V)が、
基準電圧Eb(V)(相電圧)の何パーセントになるかを表したものです。
図a

三相交流の基準電圧は線間電圧で表す場合が多いので、線間電圧をVbとすれば、Vb=√3Ebより、図aの式は図bのように表せます。

また、基準容量をPb=√3VbIb(VA)で表せば、Ib=Pb/√3Vbより、図cのように表す事もできます。

%インピーダンスによる短絡電流の計算

短絡電流計算

%インピーダンスが分かっていれば、三相3線式送電線の短絡電流Is(A)は、図のどちらかの式で求めることができます。

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