交流の基本
個人的に、理論では鬼門となる項目だと思います。交流を理解する事が、理論合格にとって重要なポイントとなることは間違いありません。理論では一番頭を抱えると思われますが、一つ一つ積み重ねてあきらめず、地道に進めて行きましょう!
正弦波交流
直流は大きさも向きも常に同じでしたが、交流は大きさや向きが時間で周期的に変化する事になります。図に示すように、波形が正弦曲線の場合、正弦波交流とびます。正弦波交流を表す一般式は、次のように表すことができます。
e=Emsinθ ※Em=最大値
ラジアン(角度の表し方)
電気では、角度を表すのに ラジアン(rad)の単位を使用します。図のとおり、半径が1mの円の場合、円弧の長さが1mになる角度が1radになります。半径がr(m)の場合は、円弧の長さがr(m)になる角度がr(rad)になります。
(rad)と(°)の関係には、次のような関係があります。
360°=2π(rad) , 180°=π(rad)
ですので、例えば30°をラジアン表示するならπ/6(rad)になりますね。
角速度・周波数
1・角速度
角速度は(ω)で表します。一定の速さで円運動している点が、1秒間に1回転するとω=2π(rad/s)ですね。ですので、1秒間にf回転するときの角度は、次式の通りとなります。
ω=2πf
2・周波数・角周波数
コイルが角速度ω(rad)で回転するとき、t秒間に回転した角度をθ(rad)とします。すると、ωとθの関係は、次式の通りとなります。
θ=ωt
コイルが1秒間にf回転すると、図のように同じ波形がf回繰り返しできます。このように、1秒間に同じ波形がf回繰り返されるとき、fを周波数と呼びます。単位はHz(ヘルツ)。1秒間にf回転しているコイルの角速度ω(rad)は、先ほど説明したω=2πfです。この角速度ωを、正弦波交流の角周波数と呼びます。正弦波交流の一般式e=Emsinθに、θ=ωt、ω=2πf、を代入すると、
e=Emsinθ=Emsinωt=Emsin2πft
となります。
交流の値
1・瞬時値
交流の起電力は時間で刻々と変化しており、各瞬時の値を瞬時値と呼びます。瞬時値は e=Emsinθ、e=Emsin2πft の式に、時刻tを代入して求めることができます。
2・最大値
Em(V)を最大値と呼びます。交流の図では、90°、つまりπ/2、山の頂上に該当する部分の値になります。また、頂上と谷の底の部分をピークピーク値と呼び、それぞれを足した値となります。
3・周波数と周期
上の図を参照ねがいます。周波数(Hz)と周期T(s)には、次の式のような関係があります。
T=1/f
4・平均値
交流波形の半周期について求めた平均値を、交流の平均値と呼びます。平均値は下記の式で表すことができます。
起電力の平均値=2×Em/π 電流の平均値=2×Im/π ※Im=電流最大値
5・実効値
正弦波交流の場合、最大値×1/√2=実効値 となります。
変換すると、最大値=√2実効値 ですね。
最大値と実効値の関係が分かるこの式は重要ですので、覚えておきましょう。
位相と位相差
図の3つの交流電流i1,i2,i3(A)は、次のように表します。
i1=Imsinwt i2=Imsin(wt-θ2) i3=Imsin(wt+θ3)
wt,wt-sinθ,wt+sinθをそれぞれi1,i2,i3の位相といいます。図において、i2はi1より位相がθ2(rad)遅れているといいます。i3はi1より位相がθ3進んでいるといいます。つまり、i3はi2より(θ2+θ3)(rad)位相がすすんでいるとなります。
2つの位相の差を、位相差といいます。i1とi2の位相差は
wt-(wt-θ2)=θ2 であり、位相差はθ2(rad)になります。この時、答えが正であればi1はi2より位相が進んでおり、負であれば位相が遅れている事になります。
※位相差の計算は、2つの位相を引き算する事を覚えておきましょう。
ベクトル
ベクトル図
大きさと向きを線分で表したものを、ベクトル量と呼んでいます。図に示しているa.b.I.θの間には、次のような関係があります。
a=Icosθ ※cosθ=ヨコ/ナナメ ですので、展開するとa=Isinθになりますね。
b=Isinθ ※sinθ=タテ/ナナメ ですので、展開するとb=Isinθになりますね。
I=√a^2+b^2 ピタゴラスの定理
θ=tan-1×b/a
ベクトルの和
図のようなI=I1+I2のベクトルの和について考えます。ベクトル図を作成する時は、まずI1の終りからI2と平行で、かつI2と同じ長さの線を書きます。続いてI2の終りから、I1と平行でかつI1と同じ長さの線を書きます。すると2線が交わる点が出来ますので、0からそこに向かって線分を引きます。この線の長さ、角度がベクトルの和となります。
ベクトルの差
図のようなI=I1-I2のベクトルの差について考えます。ベクトル図を作成する時は、まずI2の反対方向に、I2と同じ長さの線を書きます。これが-I2になります。続いて-I2の終りからI1と平行で、かつI1と同じ長さの線を書きます。続いてI1の終りから、-I2と平行でかつ-I2と同じ長さの線を書きます。すると2線が交わる点が出来ますので、0からそこに向かって線分を引きます。この線の長さ、角度がベクトルの差となります。
複素数
交流回路では、√-1(虚数)を使用することで有効に問題を解く事ができます。√-1=j と考えまして、a+jb の形で表す式を複素数表示と呼びます。
交流直列回路
抵抗のみ接続の回路
図のように抵抗だけの回路で v =√2sinωt(V)をかけた時、抵抗に流れる電流i(A)は,
i=v/R ※v(V)=最大値
である。実効値をV(V)としたとき、抵抗に流れる電流iは、
i=v/R=√2V/R×sinωt
電流iを実効値Iで表すと
i=√2Isinωt になる為、実効値で式をまとめると、
I=V/R となります。
交流回路の問題では、答えを最大値や実効値など指定してくることがありますので、必ず公式を覚えておきましょう。 最大値=√2実効値
抵抗のみの回路では、電圧と電流に位相差は発生しません。(同位相)
コイル(インダクタンス)のみ接続の回路
コイル(インダクタンス)(H)をつないだだけの回路に流れる電流は、
I=V/ωL
となります。このとき、電圧は電流よりπ/2(90°)進みます。※電流は電圧よりπ/2遅れます。ここ間違えないようにしましょう。
ωLを誘導リアクタンスといい、交流電圧に対する抵抗的な働きをします。(電流を妨げる働きをします。)その大きさは、下記の式のように、周波数に比例して大きくなります。
ωL=2πfL(Ω)
図は電圧と電流の関係のベクトル図になります。
コンデンサ(静電容量)のみ接続の回路
コンデンサ(静電容量)(F)をつないだだけの回路に流れる電流は、
I=ωCV ※リアクタンス成分が1/ωCの為 V/1/ωC が変形し、左の公式になります。
となります。このとき、電圧は電流よりπ/2(90°)遅れます。※電流は電圧よりπ/2進みます。ここも間違えないようにしましょう。
ωCを容量性リアクタンスといい、交流電圧に対する抵抗的な働きをします。(電流を妨げる働きをします。)その大きさは、下記の式のように、周波数に反比例して大きくなります。
1/ωC=1/2πfC(Ω)
図は電圧と電流の関係のベクトル図になります。
RL直列回路
抵抗RとコイルLを直列に接続した回路をRL直列回路と呼びます。図のように電圧Vを加えると、電流Iがれます。この時のRとLの端子電圧VR,VL,は、次式で表せます。
VR=IR VL=IωL
この2つの電圧の関係をベクトルで考えると、VRは電流Iと同相であり、VLは電流Iよりπ/2進みになります。(電流はπ/2遅れという事ですね。)また、電圧V、合成抵抗Z(インピーダンス)、電流I、は次式のとおりとなります。
V=√VR^2+VL^2(V)
Z=√R^2+(ωL)^2(Ω)
I=V/Z(A)
また、図のベクトル図、三角比の角度θの事をピーダンス角(力率角)と呼び、次式で表せます。※抵抗値と電圧は比例関係にある為、電圧のベクトル図とインピーダンスの三角比の角度θは同じになります。
tan-1×ωL/R(rad) ※式がややこしいので、力率角は図のθの部分、と覚えておきましょう。
これらの関係をまとめたものを図のベクトル図と三角比で記します。
RC直列回路
抵抗RとコンデンサCを直列に接続した回路をRC直列回路と呼びます。図のように電圧Vを加えると、電流Iがれます。この時のRとLの端子電圧VR,VC,は、次式で表せます。
VR=IR VC=I/ωC
この2つの電圧の関係をベクトルで考えると、VRは電流Iと同相であり、VCは電流Iよりπ/2遅れになります。(電流はπ/2進みですね。)また、電圧V、合成抵抗Z(インピーダンス)、電流I、は次式のとおりとなります。
V=√VR^2+VC^2(V)
Z=√R^2+(1/ωC)^2(Ω)
I=V/Z(A)
また、図のベクトル図、三角比の角度θの事をインピーダンス角(力率角)と呼び、次式で表せます。※抵抗値と電圧は比例関係にある為、電圧のベクトル図とインピーダンスの三角比の角度θは同じになります。
tan-1×(-1/ωCR)(rad) ※式がややこしいので、力率角は図のθの部分、と覚えておきましょう。
これらの関係をまとめたものを図のベクトル図と三角比で記します。
RLC直列回路
抵抗R、コイルL、コンデンサC、を直列につないだ回路をRLC直列回路と呼びます。図のように電源Vを加えると、電流Iが流れます。この時、R、L、C、の端子電圧は次の式で表すことができます。
VR=IR
VL=IωL
VC=I/ωC
この3つの電圧のベクトルを考えると、VRはIと同相、VLはIよりπ/2進み、VCはIよりπ/2遅れ、となりますね。また、電源Vはベクトルの和となります。ここで、同じ回路上にあるωLとωCの関係により、電圧Vと電流Iの位相に影響が生じることに注目し、次の3つについて考える事ができます。
1・VL>VC(ωL>1/ωC)→遅れ電流。誘導性と呼びます。
2・VL<VC(ωL<1/ωC)→進み電流。容量性と呼びます。
3・VL=VC(ωL=1/ωC)→同相。直列共振と呼びます。(次項で説明します。)
上記を踏まえると、合成抵抗Z(インピーダンス)、電流I、は次式のとおりとなります。
Z=√R^2+(ωL-1/ωC)^2(Ω)
I=V/Z(A)
また、交流直列回路の力率角(インピーダンス角)θは、次式でも表せますので覚えておきましょう。
θ=R/Z θ=VR/V ※直列回路のみ使えます。並列回路では別途使えません。
RLC直列共振
VL=VC(ωL=1/ωC)の状態を直列共振と呼びます。この式を細かく表すと、2πfL=1/2πfCとなります。この式をfについて展開すると次の式となります
fo=1/2π√LC
このfoを、共振周波数と呼びます。重要ですので、これも覚えておきましょう。
RLC並列回路計算
RL並列回路
図のようにR(Ω)とL(H)を並列に続回路を、RL並列回路と呼びます。この回路のIR、IL、I、は次式の通りとなります。
IR=V/R
IL=V/ωL
I=√IR^2+IL^2
また、合成インピーダンスZ、力率角θは、次式で表すことができます。
Z=1/√1/R^2+1/ωL^2
θ=tan-1×R/ωL
図のベクトル図から、Vに対してIが遅れているので、誘導性の回路となります。
RC並列回路
図のようにR(Ω)とC(F)を並列に接続した回路を、RC並列回路と呼びます。この回路のIR、IL、I、は次式の通りとなります。
IR=V/R
IC=ωCV
I=√IR^2+IC^2
また、合成インピーダンスZ、力率角θは、次式で表すことができます。
Z=1/√1/R^2+ωC^2
θ=tan-1×-(ωCR)
図のベクトル図から、Vに対してIが進んでいるので、容量性の回路となります。
RLC並列回路
図のようにR(Ω)とL(F)とC(F)を並列に接続した回路を、RLC並列回路と呼びます。この回路のIR、IL、IC、I、は次式の通りとなります。
IR=V/R
IL=V/ωL
IC=ωCV
I=√IR^2+(IL-IC)^2
また、合成インピーダンスZは次式で表すことができます。
Z=1/√1/R^2+(1/ωL-ωC)^2
図のベクトル図から、IL>ICの場合は誘導性、IL<ICの場合は容量性の回路となります。また、IL=ICの場合は、回路に流れる電流と抵抗に流れる電流が等しくなります。この状態を並列共振といい、fr(Hz)で表します。公式は次の通りとなります。
fr=1/2π√LR(Hz)
直列共振と同じ式になりますね。
なお、交流並列回路の力率角(インピーダンス角)θは次式でも表せますので覚えておきましょう。
θ=IR/I ※並列回路のみです。直列では使えません。
今回、交流回路の計算式で複素数をあえて使用していませんが(諸事情より、すみません、、、)、実際は使ったほうが良いです。複素数ついては、下記の動画を参考にしていただければと思います。※yutubeで見れます。
youtube 電検合格
こちらの先生、とても分かりやすく説明してくれてますので、是非参考にしていただければと思います。複素数に限らず、理論、電力、機械、法規、4科目全て動画にしてくれてますし、目からうろこな事も多々ありますので、一通り見る事をおすすめします。しかし無料でこんな動画見れるなんて便利な世の中になりましたね。。
交流ブリッジ
図は交流のブリッジ回路と呼ばれます。直流のブリッジ回路と同じで、対角線上のインピーダンスの積が=の場合、つまり Z1Z3=Z2Z4 場合、図のA点とB点の電位差は0となる。したがって、Z5に電流は流れない。この現象をブリッジの平衡条件と呼びます。
三相交流回路
対称三相交流
1・対象三相交流
図のように、起電力ea,eb,ec,の大きさが同じで、位相差がそれぞれ2π/3(rad)(=120°)の3つの起電力を、対称三相交流と呼びます。逆に、起電力の値がそれぞれ異なったり、位相差も均一でない場合を非対称三相交流と呼びます。
2・ 瞬時値による表示
図において、起電力の実効値をE(V)とすると、ea,eb,ec(V),は次の式で表されます。(最大値は√2E)
ea=√2Esinωt (基準)
eb=√2Esin(ωt-2/3π)
ec=√2Esin(ωt-4/3π)
図の時刻t1におけるea,eb,ec,の起電力の大きさは、ea=0,eb=-0.8Em,ec=0.8Em,となっています。この関係は、ea+eb+ec=0,となる事になります。同じく時刻t2の起電力の大きさは、ea=Em,eb=-0.5Em,ec=-0.5Em,となっています。この関係についてもea+eb+ec=0が成り立ちます。このことから、三相交流起電力の各瞬時値の和は、どの時刻でも0になる事が分かります。(図の波形少しずれてますね。。。すいません。文章が正しいので、そのつもりで図をご覧ください。。)
三相交流のベクトル表示
ea,eb,ec,は電圧の大きさが全て同じであり、eaを基準にeb,ec,と順番(相順)に位相が遅れていきますので、この関係をベクトルで表すと図の様になります。
三相交流回路の結線
1・電源の接続方法
図に示すように、三相交流の電源の接続方法は、Y(スター)型、Δ(デルタ)型、V型、の3つがあります。
2・負荷の接続方法
図のように負荷を接続したY結線、Δ結線で、各相の負荷が等しい場合は、平衡負荷といいます。電源が対称で、負荷が平衡な回路を平行三相回路と呼びます。
Y-Y回路結線
電源、負荷をY結線した回路をY-Y回路と呼びます。各層の中心点Nを、中心点と呼びます。また中心点間を結ぶ線を中心点と呼びます。平衡三相回路では、この中心線に電流は流れません。
1・相電圧と線間電圧
図においてea,eb,ec,(V)を相電圧と呼び、ab,bc,ca,(V)を線間電圧と呼びます。ここで、線間電圧abについて考えると、abは端子a,b,間の電圧ですから、bからaの向きの相電圧の和となります。したがって、線間電圧abは次式となります。
線間電圧ab=相電圧Ea-相電圧Eb
このことから、各相電圧と各線電圧の関係は、次式の通りとなります。
ab=Ea-Eb bc=Eb-Ec ca=Ec-Ea ※重要です
また、線電圧と相電圧の関係は次の通りとなります。
線間電圧=√3相電圧 ※重要です
線間電圧と相電圧の関係をベクトル図で表すと次の通りとなります。
ベクトル図から角度、三角比等を求めて答えに結びつく事がありますので、是非書けるようになりましょう。
2・相電流と線電流
Y-Y結線では各相に流れ電流と、各線に流れる電流はイコールになります。ですので次式がなりたちます。
線電流=相電流 ※重要です
Δ-Δ回路結線
電源、および負荷をΔ結線した回路をΔ-Δ回路と呼びます。
1・相電圧と線間電圧
Δ-Δ回路では、線間電圧ab=相電圧ea、同じくbc=eb,ca=ec,となりますので、次の式の関係となります。
線間電圧=相電圧 ※重要です
2・相電流と線電流
相電流は、次の式で表すことができます。
相電流ab=相電圧ea/Z
bc=eb/z
ca=ec/z
また、線電流は次式となります。
線電流a=相電流ab-線電流ca
b=bc-ab
c=ca-bc
相電流と線電流の関係をベクトル図にすると、図の通りとなります。
ベクトル図から、線電流と相電流の関係は、次の式で表すことができます。
線電流=√3相電流 ※重要です
V回路結線
Δ-Δ結線で、1相の電源を取り除いた結線を、V結線と呼びます。図において、線間電圧ab,bc,ca,は次の通り表せます。
線間電圧ab=相電圧ea
線間電圧bc=相電圧eb
線間電圧ca=(-相電圧ea)+(-相電圧eb)
この関係をベクトル図に表すと、図のようになります。
負荷の変換(Y-Δ、Δ-Y)
直流回路で抵抗のY-Δ変換がありましたが、交流でも同じく、インピーダンスを同様に変換させる事ができます。図にて詳細を記します。
交流と各種電力
電力と力率
1・単相交流の電力
単相とは波形が1つの交流をさします。単相交流の電力は、次の式で求める事ができます。
P=VIcosθ(W)ワット
P(電力)=V(電圧)×I(電流)×cosθ(力率)
この時、Pは力率をかけているので、有効電力を表しています。
2・力率
力率とは、電圧と電流の位相さをあらわしたものです。力率によって、有効に使われる電力の値が決まります。力率は cosθ で表され、次式で計算できます。
cosθ=R/Z また cosθ=VR/V
※交流の直列回路に限ります。ここ重要です。
なお、並列回路の力率は
cosθ=IR/I で表します。ここも重要です。
皮相電力・有効電力・無効電力
1・皮相電力
電圧と電流の積のみを表した値を皮相電力S(V・A ボルトアンペア)と呼びます。式はつぎのとおりです。
S=VI(W)
2・有効電力
実際に回路上で消費される電力であり、有効電力Pは、皮相電力に力率をかけた値となります。式は次のとおりでございます。
P=VIcosθ(W)
3・無効電力
回路上で消費されない電力の事をさします。無効電力はQ(ver バール)で表され、式は次の通りなります。
Q^2=√S^2-P^2
三相電力
1・Y回路結線の電力
図のY回路負荷ついて、相電圧をVp,相電流をIp,線電圧をVr,線電流をIr,としたとき、一相あたりの電力は、単相電力の P=VIcosθ で表されますので、三相回路全体で消費される電力Pは次の式で表すことができます。
P=3VpIpcosθ(W) ※相電圧、相電流で求める時は、3をかける。
P=√3VrIrcosθ(W) ※線電圧、線電流で求める場合は、√3をかける。
2・Δ回路結線の電力
図のΔ回路負荷ついて、相電圧をVp,相電流をIp,線電圧をVr,線電流をIr,としたとき、一相あたりの電力は、単相電力の P=VIcosθ で表されますので、三相回路全体で消費される電力Pは次の式で表すことができます。
P=3VpIpcosθ(W) ※相電圧、相電流で求める時は、3をかける。※Y回路と同じですね。
P=√3VrIrcosθ(W) ※線電圧、閃電流で求める場合は、√3をかける。※こちらもY回路と同じです。
以上から、三相回路の電力は、Y回路、Δ回路ともに次の2つのパターンの式で表せます。
P=3VpIpcosθ(W)
P=√3VrIrcosθ(W)
気を付ける事は、
Y回路は 線電流=相電流、線電圧=√3相電圧 の関係と、
Δ回路は 線電流=√3相電流、線電圧=相電圧 の関係です。
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RC回路とRL回路の過渡現象
RC回路の過渡現象
RC接続回路にて、スイッチを付けた図の様な回路があるとします。この回路では、スイッチSをオンすると閉回路ができ、電流I(A)が流れます。するとコンデンサC(F)に電荷が蓄えられていき、電圧VCが発生し上昇していきます。
電流は流れ始めは図でいう100%の値(初期値)ですが、時間の経過とともに、最後は0Aとなります(最終値)。これはコンデンサが直流電源を通さない役割をはたしているからですね。
ここで、電流の初期値(100%)から最終値の63.2%までの変化する時間を時定数といい、tで表すと次の通りとなります。
t=RC(s)
最終値が0ではなく、63.2%というところがポイントになります。
初期値100%~63.2%までにかかる時間が、時定数と呼ばれます。
RL回路の過渡現象
RL接続回路にて、スイッチを付けた図の様な回路があるとします。この回路では、スイッチSをオンすると閉回路ができ、電圧Vが回路に加わると、レンツの法則により、電流Iは図のような変化をする事になります。
時定数tは、RC回路の過渡現象と異なり、電流の初期値(0%)から最終値(100%)までの間、63.2%までの変化する時間をいいます。式で表すと、つぎのとおりとなります。
t=L/R(s)
以上です。交流回路は一応ここで終りになります。理論では一番難関だと思われますが、地道にやれば必ず突破できると思います。