企業では基本的に、LAN配下にある機器のIPは固定化されていて、ルーターからIPを自動で取得する「DHCP」の機能はOFFになっていると思います。
一般家庭ではどうでしょうか?恐らくLAN内の機器を固定にする意味はほとんど無いと思いますので、DHCPでIPを自動で取得しているはずです。
しかし、なかにはNASなどの「サーバー」を自宅のLANに設置している方もいるでしょう。
その場合、データの貯蔵庫であるサーバーのIPがころころ変わってしまえば、そこにアクセス出来なくなってしまうので、DHCPはOFFにして、機器に固定IPを割り振る事になります。(固定にしなくても厳密に言えば再検索で見つけることが出来ますが、例えばVPNで外部からアクセスした場合は再検索ができません。)
ところが、今ではあらゆる家電製品がネットワークにつながります。TVやレコーダーなんかは当たり前です。
その機器全てに固定IPを割り振るには少々時間がかかるので、結構面倒です。
そこで、LAN内の機器に、「固定IP」と「DHCPの自動取得」を共存させる方法があります。
これを使えば、サーバー等、固定IPにしたい機器だけ固定IPを設定しておけば、後の機器に関してはDHCPから自動でIPを取得してくれるので、全て固定IPにするより断然手軽に設定できます。
それではその方法についてまとめようと思います。
初めに
そもそもIPってなに?
ここではざくっと説明しますが、過去記事でIPやインターネットにつながる仕組みを細かく解説しているので、是非参考にして下さい。↓
IPアドレスは大きく分けて「グローバルアドレス」と「ローカルアドレス」に分けられます。
LANは「ローカルエリアネットワーク」ですので、ローカルIPを使用します。
LAN内での情報のやり取りは、MACアドレスを利用した流れになりますが、通信相手のMACアドレスを割り出すのに「ローカルIP」が必要になります。つまり、自身を示す識別の番号になります。
ローカルIPは基本192.168.△△△.〇〇〇の4オクテット(32ビット)で表され、△の部分が「ネットワーク部」、〇が「ホスト」を表します。
家庭でLANを組んでる場合、それぞれの機器のローカルIPを見てください。△の部分までは同じ番号のはずです。これは同じネットワーク内にいるという証拠です。
固定IPと動的IP
固定IPは機器に直接ネットワークに属した任意のローカルIPを設定します。名前の通りこのIPアドレスは固定されるので、変更されることはありません。
したがって、サーバー等のアクセス先がころころ変わっては困る機器に割り振ります。
動的IPは、ルーターのDHCPという機能を利用して、ローカルIPアドレスを自動で受け取るIPで、ネットワークの切断や電源の入り切りで都度IPアドレスが変わってしまいます。
家庭内では一般的にDHCPが主流だと思います。
固定IPと動的IPを共存させる方法
DHCPによるIP払い出しに「範囲」を設ける
DHCPを利用しつつ一部の機器にだけ固定IPを割り振りたい場合は、DHCPによるIP払い出しに「範囲」を設けてやります。
通常、ホストの番号は1~順に割り振られていきますが、そこを例えば5~に変更してやれば、「1~4」の4つのIPが固定IPとして利用できるという訳です。
設定手順としては、まず自宅のルーターにログインします。
その後、LAN設定画面でDHCPの設定画面へ
ここに、割り当てIPの範囲を指定する事が出来るので、任意の値を入力し、保存します。
上の場合だと、ホストを5~にした場合、5から64台分のアドレスが、DHCPの自動受信設定になっている機器に割り振られていきます。
したがって、固定アドレスを割り振りたい場合は、機器のDHCP受信機能をOFFとし、1~4のホスト番号のIPアドレスを打ち込んでやれば、固定IPとして利用できるのです。
まとめ
ルーターのDHCPの自動割り振りをONにしていれば、固定IPは払い出されたIPと重複してしまい使えないと思いがちですが、払い出しのIPの範囲さえきっちりと設定してやれば、固定IPと動的IPの共存が可能になります。
今回、バッファロー製のルーターで説明しましたが、他の製品でもほとんど同じだと思いますので、固定IPと動的IPの共存を考えている方がいれば、参考にして頂ければ幸いです。
ちなみに、外出先から家庭のLANにアクセスする「VPN接続」についても過去記事でまとめていますので、是非参考にして下さい。非常に便利です。↓