テレビの地上波放送がデジタル化になって10年程たちますね。当初はHD(ハイビジョン)と呼ばれる画質でしたが、どんどん進化して今ではフルHD(フルハイビジョン)は当たり前、さらに4K,8Kと画質の向上が進んでおります。今回はテレビについて放送の受信や画質、内部の仕組み等を簡単に解説したいと思います。また、4Kテレビは買いか?について考えたいと思います。
目次
テレビの画質(解像度)
テレビ画面では「画素」と呼ばれる小さな点の集合体が発光し映像を表示している訳ですが、この「画素」の数が多いほどより現実に近い綺麗な映像を表現できます。この数の多さにより、名称が分けられています。また、デジタル化になってからTVのタテ:ヨコの比率は映画館と同じ、9:16となっています。
すこし話が逸れますが、カメラも「画素」の集まりで表示が出来ています、コチラの記事で纏めているので良ければ見て下さい→「知ってなるほどズームの違い」デジタルカメラの種類と基本的な仕組み。
1・HD(ハイビジョン)について
テレビの大型化が進み、今ではHDの画質はあまり見かけませんが、安価なスマホや、小型のテレビではまだ採用されています。解像度(画素数)はヨコ1280×タテ720 になります。
2・フルHD(フルハイビジョン)について
現在市場での定番はフルHDになっています。スマホでも多くで採用されていますね。解像度は 1920×1080 となります。
3・4Kについて
今年12月から衛星放送にて放送が始まりました。まだまだ普及はしていませんが、近い将来定番となるでしょう。解像度は 3840×2160 となります。フルHDの4倍の解像度となるため、4Kと呼ばれます。スマホでも高価なものは採用されてますね。
4・8Kについて
一応2020年までに衛星で放送するといわれています。ただ解像度は4Kの2倍、7680×4320 ですので、おそらくパブリックビューイング等の大画面で楽しむ等の用途で使われるんじゃないかな。TVやスマホではもはやオーバースペックだと思われる。
放送受信の仕組み
1・地上波の放送受信
まずTV局でカメラで撮影された映像がデジタル化され、そのデータが有線にて電波塔まで運ばれます。電波塔ではデータを変調(搬送波、つまり電波に乗せる事)し、エリア内の地域まで飛ばします。家庭ではUHFアンテナを介して放送波を受信するという流れです。
光TVの流れは、契約プロバイダが有線で受信した地上波データを光信号に変換し、家庭へ光ファイバを通じて多重送信(インターネットと同じ回線)しているという訳です。
2・衛星放送の受信
大きく分けてBS(放送衛星)、CS(通信衛星)がありますね、これは宇宙空間に存在しています。まずは地上のBS,CS放送局から衛星へ放送信号が送信されます。その後、契約している家庭では専用アンテナとチューナーを介し衛星から放送を直に受信するという流れです。
光のBS,CSは一旦契約してる会社が受信して、それを光に変換、その後家庭へ多重送信のながれです。これは光TVと同じですね。
テレビ内部の仕組み
1・テレビ内部のブロック
おもに2つのブロックに分かれています。1つ目がフロントエンド部、2つ目がバックエンド部です。フロントエンド部では、主にチューナー(選局)、検波(復調、いわゆる電波成分の搬送波を取り除く事)、バックエンドでは主に、スクランブル解除(Bキャスカード差さないと見れないやつ、いわゆる著作権がらみのロック解除)、コーデック(放送データはMPEG2コンテナで圧縮されてるから伸張が必要)、映像処理、音声処理、といった感じです。そこを通って初めて映像が映り、音声が出ます。
ちなみにHDMIやLANコネクタ等はバックエンド部に配置されています。
2・映像表示の仕組み
テレビには走査線と呼ばれるものがあります。簡単に言えばタテの画素数、つまりフルHDなら1080本の走査線があります。TVが表示されるには、1行ずつ順番左上から右下まで走査していき、右下まで走査が終われば、初めて1つの静止画像が出来上がる仕組みになっています。
また、フレーム数(fps)というのがあり、これは1秒間に何回静止画を表示させるかというものです。例えば、地上波のフレーム数は30fpsですので、1秒間に30回表示が変わっている訳です。ぱらぱら漫画と同じですね、この数字が大きいほど、動画はなめらかに表示されます。
ちなみに4Kは、60fpsです。
表示の方式にはインターレース式(飛越走査、1行ずつ飛ばして走査する事)とプログレッシブ式(順次走査)があり、インターレース式の方がちらつきが少ないといわれています。地上波はインターレースで。4Kはプログレッシブです。
3・バックライト
古くは蛍光管でバックライトを光らせていましたが、今の主流は「LED」です。蛍光管は発光させるのに高電圧が必要で、インバーター基板が必要であり、しかも消費電力を多く消費していました。比べてLEDは省電力なうえ、高品質な光を提供できます。中でも、直下型のLED(液晶の裏にLEDを多数使用したもの)が良しとされています。
地上波放送のデータ量
フルHDについて考えます。画素数は1980×1080でしたね。そして30fps。これだけで考えると、デジタルのデータ量=1980×1080×30=64.051Mbps になります。が、じつは1画素につき「色」のデータ量も加えなければなりません。ビットカラーと呼ばれ、1画素に32bit使用します。ですから、64.051Mbps×32=約2.05Gbpsという莫大なデータ量になるんですね。バイト換算で約256MB/sになります。
これを電波に乗っける、変調するには無理があります。地上波の使用周波数帯がUHFで、300MHz~3GHZですが、TVに割り当てられているのがだいたい500~700MHz。無線で遠くにとばすには、元のデータ量より大きな電波の周波数が必要なんです。ですから、2.05Gbpsなんてデータ量は許容をオーバーしています。なので、MPEG2圧縮技術を使い、10/1程度容量を小さくしているんですね。
4KTVは買いか?
地上波ではまず当面放送派が対応しません、が、アップコンバートという技術があります。これは例えばフルHDの画像を4K画像へ疑似的に変換する仕組みです。この機能により多少は綺麗になります。が、あまり小さなインチのTVでは分かりにくいため、基本50インチ以上が4K対応TVとして良いとされていますね。価格も落ち始めて、今では10万を切る製品も出ています。
12月より放送される4K衛星放送では、専用のチューナーが必要らしいですが、そういう事を踏まえても、個人的には買ってもいいと思います。ただし、50インチ以上であればですが。
やはり画面が大きくなれば多少粗が目立ちますので、4Kの恩恵は大いにあると思われます。なんにせよ、価格が落ちているのが最大のポイントである。
もし、50インチ程のTV購入を考えている方がいるのであれば、是非4KTVを視野にいれて欲しいと思います。スマホは別ですけどね。
余談ですが、TVの電源ケーブルにアース線が付属しているものがあります。感電防止の役割を担ってますので、アース線があれば必ず接続しておきましょう。※アースについてはコチラの記事で纏めています→意外と知らない家庭コンセントの仕組み。交流電圧にまつわる「ホットとコールドとアース」の関係。