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電気事業法

電気事業法

電気工作物

電気工作物とその範囲

電気工作物とは、「発電、変電、送電もしくは配電または電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、跳水池、電線路その他の工作物」をいいます。
電気事業法では、電気工作物は一般用電気工作物と事業用電気工作物の2つに分類されます。また、事業用電気工作物のうち、電力会社などの電気事業以外に用いられるものは、自家用電気工作物に分類されます。

一般用電気工作物:一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、電気事業者から低圧(600V以下のもの)の電圧で受電している場所の電気工作物。
また、受電の為の電線路以外に、その校内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの。
例えば、電力会社から電気の供給を受けている一般的な配線設備など。

事業用電気工作物:電気事業者が需要者へ電気を供給するために必要な電気工作物。
例えば、電力会社の発電所、変電所、電線路など。

事業用電気工作物(自家用電気工作物):一般用電気工作物および電気事業用以外の電気工作物。
例えば、工場やビルなどのように電気事業者から高圧(600Vを超えるもの)の電圧で受電している事業場の電気工作物。または、小出力発電設備以外の発電設備を有するものなど。

技術基準の適合

電気事業法では、事業用電気工作物を設置する者は、省令で定める「技術基準」に適合するように維持することを義務付けています。
技術基準は、大きく次のように定義されています。

①人体に危害を及ぼし、または物件に損傷を与えないようにすること。

②他の電気設備その他の物件の機能に電気的または磁気的な障害を与えないようにすること。

③事業用電気工作物の損壊により、一般電気事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。

④一般電気事業に供給する場合は、事業用電気工作物に供給する場合は、事業用電気工作物の損壊によって一般電気事業者への電気供給に著しい支障を生じないようにすること。

この条文にもとづいて、経済産業省令「電気設備技術基準」が制定されています。
経済産業大臣は、事業用電気工作物が技術的基準に適合していないと認める時、事業者に対して事業用電気工作物を修理、改造、移転、もしくは一時停止を命令して、その使用を制限することができます。

電気工作物を扱う資格

主任技術者の任命

電気事業法では、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督をさせるため、「電気主任技術者免状」の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければなりません。
主任技術者の選任や運用に関しては、以下のような規定があります。

○主任技術者を選任または解任したときは、遅滞なくその旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

○主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。

○事業用電気工作物の工事、維持、または運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

電気主任技術者の監督範囲

電気主任技術者免状は第一種から第三種に分かれており、保安の監督が出来る範囲は、以下のように規定されています。

第一種電気主任技術者:すべての電気工作物の工事、維持および運用

第二種電気主任技術者:17万V未満の電気工作物

第三種電気主任技術者:5万V未満の電気工作物(出力5000kW以上の発電所を除く)

電気工事法と電気工事士の範囲

電気工事士法は、電気工事の作業に従事する者の資格および義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とした法律です。
電気工事士法では、電気工作物の工事に従事するための資格として、電気工事士免状が必要です。
電気工事士免状は第一種と第二種に分かれており、自家用電気工作物の電気工事では第一種電気工事士、一般用電気工作物の電気工事では第一種、または第二種電気工事士でなければ工事に従事してはなりません。
また、自家用電気工作物であっても特殊電気工事では、特殊電気工事資格者でなければ工事に従事してはなりません。
電気工事が作業に従事できる範囲は、以下のように規定されています。

自家用電気工作物

第一種電気工事士

特殊電気工事(自家用電気工作物)

特殊電気工事資格者

簡易電気工事(自家用電気工作物)

第一種電気工事士、または認定電気工事従事者

一般用電気工作物

第一種電気工事士または第二種電気工事士

電気工作物の保安

保安規定

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持、または運用に関する保安を確保するために、組織ごとに「保安規定」を定め、事業用電気工作物の使用の開始前に経済産業省大臣に届け出なければなりません。
保安規定に定める事項として、以下のものがあります。

①業務を管理する者の職務および組織に関すること

②業務に従事する者に対する保安教育に関すること

③保安のための巡視、点検及び検査に関すること

④事業用電気工作物の運転または操作に関すること

⑤発電所の運転を相当期間停止する場合における保全と方法に関すること

⑥災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること

⑦保安についての記録に関すること

⑧法定事業者検査に関わる実施体制および記録の保存に関すること

⑨その他、保安に関し必要な事項

また、保安規定の運用に関して、以下のような規定があります。

○保安規定を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を経済産業大臣に届け出なければならない

○経済産業大臣は、保安を確保する必要があると認める時は、保安規定を変更すべきことを命令できる

○事業用工作物を設置する者およびその従業員は、保安規定を守らなければならない

事故報告

電気事業者または自家用電気工作物を設置する者は、電気工作物による電気事故が発生した場合に、経済産業大臣または所轄経済産業局長に報告する義務があります。
事故報告には、事故の発生を電話などで早期に報告する速報と、事故の詳細を報告書として提出する詳報の2種類があります。
たとえば、自家用電気工作物による感電死傷事故、電気工作物を原因とする火災や死傷事故、損壊事故の場合は、事故を知ったときから48時間以内に「速報」、事故を知った時から起算して30日以内に「詳報」を所轄経済産業局に報告します。

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