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「デジタルマルチテスターの仕組みと使い方」基本を理解すれば簡単に扱えます

マルチテスター

普段日常ではあまり使う事がないと思われますが、意外と知っておくと便利なので「デジタルマルチテスター」の基本的な使い方をまとめたいと思います。

電子工作時などは必須のアイテムで、主に「抵抗値」「電圧値」「電流値」を測定する事が出来ます。

日常では、例えば壁コンセントの100V,200Vの確認や、電子機器のACアダプタの出力、PCだと20Vとかですね、主に電源の確認が容易にできます。

また、少しマニアックな使い方だと、コンデンサの「静電容量」やダイオード、トランジスタの「導通確認」も確認できるので、目視ではなかなか確認できないコンデンサの容量抜けや、ダイオード、トランジスタの短絡等の不具合も特定する事が出来ます。

デジタルマルチテスターの仕組み

電圧、電流チェック時

マルチテスター内部には一定の抵抗値を持った抵抗が組み込まれています。

電圧チェック時にはその抵抗を介する事で電流が流れ、オームの法則でどれだけの電圧がかかっているかを割り出しています。電圧V=RI

電流チェック時もしかり、抵抗に電流が流れる事によって電圧が発生し、オームの法則で電流値を求めています。電流I=V/R

抵抗値、静電容量、導通チェック時

これらは全て、回路に実装されているそれぞれの部品にテスターから微弱な電流を流し、消費される電圧の有無や蓄えられる電荷から結果を導き出しています。

抵抗R=V/I、導通R=V/I、静電容量C=Q/V

デジタルマルチテスターの使い方

抵抗値測定

テスターのリード線赤をVの差し込み口、黒はGNDに挿入されている事を確認後、テスターのつまみをΩに合わせます。

チップ抵抗など、半導体でなければ極性はないので、部品の両端にテスタ棒をあてるだけで測定可能です。

半導体の場合は、後述しますが極性がありますので、極性に従いテスタ棒をあてます。

測定した値によって、オープン(断線)や短絡の故障を特定できます。

電圧測定

直流電圧測定

テスターのリード線赤をVの差し込み口、黒はGNDに挿入されている事を確認後、テスターのつまみをVの直流に合わせます。

あとは測定する回路の基準点(基本測定回路のGND部=0V)に黒のテスタ棒をあてて、測定したい箇所の部品に赤のテスタ棒を当てる事で、任意の箇所にかかっている電圧を測定できます。

テスタ棒を逆にしても測定は出来ますが、測定値が反転(+Vの場合-V)になります。

なお、交流電圧は測定不可です。

交流電圧測定

基本直流と同じです。つまみを交流に合わせた後、基準点と測定部にテスト棒を当てます。

直流と異なる点は、「極性がない」事です。つまり、赤と黒をいれかえても測定値に変化はありません。

壁コンセントでいうと、長い穴がGND(0V)になりますが、関係ありません。

なお、直流電圧は測定できません。

電流値測定

直流電流測定

テスタのリード線赤を本体のAに挿入、黒はGND。

あとは測定したい回路に対して「直列」にテスタをつなぎます。ここがポイント。回路を切った状態で+側に赤、-側に黒をつなぐ感じです。逆にすると-の値になります。

つまり、回路を分断しなければ正確な電流値を測定できません。回路がつながった状態、これは並列でテスタをあてる事になるので、電流の性質上正確な値になりません。簡単にいうと分流してどっかいっちゃうんですね。

つまみはmAかAがあるので、前もって適したレンジに合わせておきます。

交流電流は測定できません。

交流電流測定

直流電流測定とほぼ同じです。異なるのはつまみを交流にする位。

あとは同じく測定したい箇所に直列にテスタを組み込むだけですね。

直流電流は測定できません。

静電容量測定

電解コンデンサで説明します。

テスタ本体側は電圧測定時と同じ、Vに赤、GNDに黒を挿入。テスターのつまみを静電容量に合わせ、測定したい電解コンデンサの+に赤、-に黒を当ててしばらく待ちます。

しばらくするとテスタのモニターに測定値が表示されます(μF)。測定した値が電解コンデンサの基準値を下回れば容量抜けって事ですね。

測定するコンデンサは、回路から取り外すのがいいです。回路上で計測すると他の部品との構成が関係して正確な値が測定できません。

セラミックコンデンサ等、極性が無いものは試していないので、この方法でも測定できるかは不明です。すみません。

導通確認

これは回路の断線の有無や、ダイオード、トランジスタなどの半導体の順方向、逆方向の導通を測定することで部品の故障を特定する事ができます。

テスタ本体側は電圧測定時と同じ、Vに赤、GNDに黒を挿入。テスターのつまみは導通確認の「ダイオード」マークにあわせます。

回路の断線確認はそのまま極性関係なく確認したい箇所にテスタ棒を当てるだけです。モード切替ボタンを押せば、導通があればピーっと音がするので分かりやすいです。

変わって、ダイオードやトランジスタの故障の判断ですが、この半導体には極性があり、A(アノード)からK(カソード)が順方向で電流を流す仕組みとなります。KからAは逆方向となり、電流を流さない性質を持っています。テスタ棒は赤をAに、黒をKにあてると順方向の導通確認ができます。逆にすると逆方向の確認ですね。

通常、順方向であれば電流が流れるので、テスタのモニタには0.5V前後の値が出るはずです。逆方向は当然電流が流れないため、測定不可の表示がでます。

ですので、順方向で測定不能であればオープン(断線)、逆方向で電圧が計測されれば電流が流れていることになるので短絡となり、どちらも故障モードといえます。

ちなみに測定はコンデンサと同じく、回路に実装された状態では他の影響を受けるため、正確に測定するには部品を外した状態で行うのがベストです。

トランジスタの場合、PNP型とNPN型がありますが、順にコレクタ、ベース、エミッタ、の極性を表しています。Pがアノード、Nがカソードになります。

あとはそれぞれの極性間を測定するだけですね。

※コレクタ、エミッタ間は導通がありません。あればNGです。

ありがちな故障

定格値オーバー

電圧や電流値の測定には上限があり、それを超えるとヒューズ切れや最悪は本体の故障につながります。

電圧はだいたい600V位まで計測できるのでほぼ問題はないと思われますが、電流値は比較的低めですので注意が必要です。

測定中のレンジ変更(つまみ変更)

こちらもありがちなんですが、例えばつまみのモードをテスタを当てたままかちゃかちゃかえたりすると故障につながります。

たとえば電流値のレンジをAからmAに変えたりすると、一発でヒューズが飛んだりします。これはAとmAについている定格ヒューズが異なるからですね。

測定中のつまみ変更は厳禁です。

被測定物の故障

テスターの先は金属でできているので、電子機器を測定する際に誤って隣りの部品とショート、、なんてこともざらにあります。

場所によっちゃ一発で電子機器が故障する事もあるので、プローブを当てる際は慎重にしなければいけません。

「デジタルマルチテスターの仕組みと使い方」基本を理解すれば簡単に扱えますまとめ

比較的マルチテスターで使う事が多い機能をまとめましたが、ここを理解できれば大方使いこなせると思います。

電子工作では欠かせないものですが、日常でも少なからず出番があるとは思います。

例えば乾電池の残量だったり、壁コンセントの電圧確認だったり(コレはあんまないか、、)、ACアダプタの故障確認とかね(出力電圧確認)。

身近なものでいえばイヤホンのスピーカーの故障も判断できますからね。ちょっと被覆剥かなきゃいけないけど、スピーカーのインピーダンス(合成抵抗)はだいたい8オーム位あるんで、これの抵抗値が異常に高い抵抗値(数MΩとか)になってたらコイルが飛んでたりしますから、スピーカーの故障とすぐに判断できます。

車のバッテリー12Vとかも確認できますし。一家に1つは持ってても良いと思いますね。

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