なんでもワイヤレスの時代です。電話も、充電も、そしてスピーカーも。
スピーカーに関しましては、身近なところに「Bluetoothイヤホン」がありますね。見事にワイヤレスで音楽やらを聴くことが可能です。
でも、ワイヤレスっても中には電池が入っている事を忘れてはいけません。充電してますよね、Bluetoothiイヤホン。
この電池、なんの為に入ってるか正確に答える事できない方が多いんじゃないでしょうか。「それはあれだよ、Bluetoothを受信するためだよ」と9割が濁した言い方でごまかす事でしょう。
間違ってはいませんが、正確に言えば「受信回路」「A/D変換」「Power Amp」等の無線+オーディオ回路の為に電源が必要なんです。ledとかその辺もあるけど。
イヤホン程度の大きさなら人の耳に直接つける訳で、たいして大きな電力は消費しないから内蔵バッテリで賄えますが、これがどっか配置して聞くとなればそうはいきません。
結局、壁コンからケーブル引っ張ってきて電源つなげる羽目になるんです。(ワット数によっては乾電池で完全なワイヤレスのやつもあるけど。小さなスピーカね。)
つまり、配置型の(ワット数高めの)ワイヤレススピーカーは現時点では電源が必須なので、正確に言えば「音声受信のみワイヤレススピーカー」になるのです。
それでは今回は、スピーカーが駆動する仕組みについてまとめようかと思います。
目次
初めに
スピーカーの仕組み
スピーカーには大きな磁石が入っています。その周りに「ボイスコイル」というコイルがあり、これに音声信号となる電気信号(アナログ)が入力されます。
フレミング左手の法則により、磁石により発生している磁界の中で電流が流れる事になるので、ボイスコイルにローレンツ力が働きます。
ボイスコイルは空気を振動させる「コーン」とつながっているので、ボイスコイルに生じた動力がコーンに伝わり、空気を振動させ音が鳴っているのですね。
スピーカーには大小ありますが、基本的にはこの原理でしょう。
特徴は「電源を必要としない」です。入力音源さえ確保できれば電源は必要ありません。ただし、スピーカーを駆動させる最低限の信号の大きさ(入力)が必要になります。
つまり、「スピーカーを駆動できるレベルまでの音を作る」のに電源が必要になるんですね。
スピーカーが駆動するまで
Bluetooth(ワイヤレス)の場合
ブロック図でいうと、上のような感じになります。
ACCやmp3などで圧縮されたデジタル音源(コーデック)は、そのまま無線で飛ばせないので、Bluetoothの規格に沿った形で変調(搬送波に乗せる)され、スピーカーまで飛ばします。
受信側のスピーカーでは、まず同調回路で搬送波を受信し、復調回路(検波)で搬送派を取り除きます。
これでデジタル圧縮信号が取り出されるので、A/D変換で伸張させたのち、アナログ変換します。
最後に、Power Ampでアナログ信号を増幅し、スピーカーを鳴らします。
厳密に言えばフィルタとかAmpももっと随所に入ってますが、おおかたこんな感じです。
ワイヤレスの場合、こんなにも沢山の回路がスピーカー側に求められるんです。電源は必須です。
それではブロックごとにまとめてみます。
送信側
デジタル圧縮音源
AACやmp3などで圧縮されたデジタル音源信号です。
大元のアナログ音源信号をPCMでデジタル化しただけのものでなく、さらに圧縮の規格にそった形のデジタル信号に変換されたものです。
※図はあくまでも例です。この先の図も全てイメージです。。
変調
無線で受信機に飛ばすため、搬送波に音源を乗っける処理をします。
変調には振幅とか周波数とか色々方式がありますが、「直行変調」みたいな位相と振幅を合わせたような変調方式が主流だったような気がします。(違ったらゴメン)
受信側
同調回路
ラジオでいうチューナー部分ですね。Bluetoothの場合はペアリングしてるので少し意味合いは異なるかもしれませんが、なんせまずは指定の電波を受信します。
復調回路(検波回路)
受信した信号を復元するため、まず搬送波を取り除きます。
逆位相の信号を加えて搬送波を打ち消すイメージです。
D/A変換回路
圧縮デジタル信号が復元されたので、この回路で「伸張」「アナログ変換」し、大元のアナログ音源信号を取り出します。
Power AMP
取り出した音源は信号のレベルが低いので、スピーカーを駆動できません。
そこでこの回路を通し、信号レベルを大きく上げてやります。
後はスピーカーの入力に入れてやるだけです。
ちなみに、ボリュームは基本AMPの入力側につけます。この入力側のボリュームを調整する側を「プリアンプ」と呼んだりします。
送信側がスマホなら、スマホがプリアンプの役割になりますね。